投稿日:2024.12.27
矯正治療をすると歯根が短くなる?歯根吸収について詳しく解説
こんにちは。横浜駅より徒歩3分、矯正専門医院の横浜駅前歯科・矯正歯科です。
いつも当院のブログをご覧いただきありがとうございます。
「綺麗な歯並びを手に入れたい!」「噛み合わせを良くしたい! 」
矯正治療を始める前は、治療後の歯並びを想像してワクワクしたり、痛みに耐えられるかどうか不安になったり、
様々な思いを巡らせることがあるかと思います。
歯列矯正はあくまでも「治療」なので、治療をする上でのリスクは少なからずあると言えるでしょう。
矯正治療のみに言えることではないと思いますが、自分がこれから受ける治療にどんなリスクがあるのか、
治療を始める前に知り、リスクを把握しよく理解してから始めることは大切なことではないでしょうか。
今回は矯正治療中に起こりうるリスクのひとつ、歯根吸収についてお話したいと思います。
歯根吸収とは
初めて歯根が吸収されるというワードを聞くと、何事かと思いますよね。
歯根吸収とは、歯の根っこの部分(歯根)が短くなる現象です。
何かしらの原因で、根っこが溶かされ骨や組織が吸収されることで歯根が減少するため、根っこが短くなるというメカニズムです。
通常、歯の根っこは歯槽骨(歯を支える骨)にしっかりと埋まっており、歯を支える重要な役割を果たしています。
しかし、歯根吸収が進行すると、歯の安定性が失われ、最悪の場合、歯を失うことにもつながります。
歯根吸収には、生理的なものと病的なものがあります。
生理的な歯根吸収は、乳歯が永久歯に生え変わる際に自然に起こる現象です。
一方、病的な歯根吸収は、外傷、炎症、腫瘍、そして矯正治療など、様々な原因によって引き起こされます。
歯根吸収の主な原因
矯正治療:歯を移動させる際に加わる力が原因となる場合があります。
外傷:歯を強く打ったり、ぶつけたりすることで起こることがあります。
炎症:歯周病や根尖性歯周炎などの炎症が原因となることがあります。
腫瘍:歯の周囲にできた腫瘍が原因となることがあります。
歯ぎしり・食いしばり:歯に過剰な力が加わることで起こることがあります。
歯根吸収のメカニズム
歯根吸収は、破骨細胞という細胞が活性化することで起こります。
破骨細胞は、骨組織を分解する役割を持つ細胞で、通常は骨のリモデリング(古い骨を壊して新しい骨を作る)に関与しています。
しかし、上記のような原因により、破骨細胞が歯根を分解してしまうことで、歯根吸収が進行します。
意外と身近に歯根吸収
みなさんはこどものころ歯が抜けた時の事を覚えていますか?
上記で述べた通り、実は乳歯が抜けるときも、歯根吸収が関係しています。
乳歯の根元で永久歯が育ちます。
永久歯が生えようと乳歯の歯根に刺激が加わると、乳歯の歯根を溶かし、短くなります。
それによって乳歯の歯根は吸収され、グラグラとした後に抜け落ちるのです。
当たり前ですが、抜けた乳歯を見ると、歯根がないんですよね。
自分の乳歯が抜けたときは気に留めなかったことですが、娘の抜けた乳歯を見た時に、
歯根がない=歯根吸収したせいか!と改めて気付かされました。
大人になって親知らずを抜歯し、しっかりとした歯根をみたり、矯正の便宜抜歯で抜いた歯根の残った歯を見る事が多いと、
抜けた乳歯の小ささと歯根のないコロンとした姿はどこか可愛いらしさすら感じました。
矯正治療と歯根吸収の関係
なぜ矯正治療で歯根吸収が起こりやすいのか?
矯正治療は、歯に力を加えて移動させることで歯並びを改善する治療法です。
この力が過剰にかかると、歯根吸収を引き起こす可能性があります。
しかし、適切な力で治療を行えば、歯根吸収のリスクは最小限に抑えられます。
歯根吸収が起こりやすいケースとしては、強い力での矯正、歯の移動量が多い場合、治療期間が長い場合、過去に外傷の経験がある場合などが挙げられます。
どのくらいの頻度で起こるのか?
矯正治療を終えると、ほとんどの場合治療前と比較して歯根が短くなると言われていますが、
レントゲン写真でもわからないくらい、問題を引き起こさない程度です。
レントゲン写真で歯根吸収が確認できるのは、3分の1程度歯根が短くなった場合です。
そしてその割合は全体の3%ほどで、特に前歯部に起こることが多いです。
参照: https://makino-ortho.com/archives/2985【副作用】矯正治療による歯根吸収
歯根吸収するとどんな症状があるの?
歯根吸収は、特に初期段階では自覚症状が少ないため、定期的な診察が非常に重要です。
初期段階の症状
・自覚症状がほとんどない
・レントゲンやCTスキャンでのみ確認可能
進行した場合の症状
・歯の揺れ:歯が不安定になり、揺れを感じることがある
・噛み合わせの違和感:噛んだ際にしっくりこない感覚が生じる
・痛み:歯や歯茎に圧力がかかると痛む場合がある(重度の場合)
・歯茎の変化:歯茎が下がったり炎症を起こしたりする可能性
症状が現れる頃には、歯根吸収がある程度進行していることが多いので、矯正治療中の場合は特に定期的な検査が非常に重要です。
歯根吸収の予防法
歯根吸収を完全に防ぐことは難しいものの、以下の予防法を参考に気をつけることでリスクを最小限に抑えることが可能です。
矯正治療における予防法
矯正力の管理
矯正力が強すぎると歯根吸収のリスクが高まるため、適切な力で歯を動かすことが重要です。
経験豊富な矯正医を選ぶことでリスクを減らせます。
治療計画の慎重な設計
長期間の治療はリスクを増やす可能性があるため、必要以上に治療を長引かせない計画を立てます。
自分でできること
適切な口腔ケア
歯磨きやフロスで歯周病や虫歯を防ぐことが大切です。 炎症や感染が歯根吸収を助長することがあります。
噛む力の調整
過剰な噛みしめや歯ぎしりは歯根にストレスを与えるため、ナイトガードの使用などが有効です。
不安があれば早めに相談
症状がなくても不安があれば矯正医に相談することで、適切な対応が可能です。
よくある質問
Q.歯根吸収は完全に防げますか?
歯根吸収は、残念ながら完全に防ぐことは難しいです。
特に矯正治療においては、歯を動かすという行為自体が、多かれ少なかれ歯根に影響を与え、微量の歯根吸収を引き起こす可能性があります。
これは、歯槽骨をリモデリングする際に、歯根の一部も影響を受けるためです。
しかし、「完全に防ぐことはできない」からといって、過度に心配する必要はありません。
なぜなら、矯正治療で起こる歯根吸収は、ほとんどの場合ごく軽度であり、歯の寿命に大きな影響を与えることはありません。
Q.歯根吸収があっても矯正治療は可能ですか?
歯根吸収があっても、程度によっては矯正治療は可能です。
ただし、歯根吸収の程度や原因、その他の口腔内の状態によって、治療方針やリスクが異なってきます。
歯根吸収があっても矯正治療が可能なケース
軽度の歯根吸収:矯正治療中に起こる歯根吸収の多くは軽度であり、歯の寿命に大きな影響を与えることは少ないため、通常は治療を継続できます。
経過観察を行いながら、慎重に治療を進めていくことになります。
過去に歯根吸収の経験がある場合:過去に外傷などで歯根吸収を起こしたことがある場合でも、現在の状態が安定していれば、矯正治療が可能な場合があります。
ただし、通常よりも慎重な治療計画が必要となります。
歯根吸収の状態によっては矯正治療が難しいケース
重度の歯根吸収:歯の動揺が大きくなるなど、歯の機能に影響を与えるほど重度の歯根吸収がある場合は、矯正治療が難しい場合があります。
進行性の歯根吸収:歯根吸収が進行している状態では、矯正治療によってさらに進行する可能性があるため、治療を控えるか、慎重な判断が必要となります。
歯周病など他の疾患を併発している場合:歯周病など、歯根吸収を悪化させる可能性のある疾患を併発している場合は、まずそちらの治療を優先する必要があります。
Q.レントゲンが必要な理由は?
歯根の状態を正確に把握するためにレントゲンを撮影します。
横浜駅前歯科・矯正歯科では精密検査の際にレントゲン、CTの撮影をし、治療前の歯根の状態を精査します。
これによって平均よりも歯根が短いことや、湾曲していることなどを知ることができます。
結果は診断時にお伝えしておりますので、歯根吸収のリスクが高い状態なのか、そうでないのかを確認することができます。
場合によっては歯根吸収のリスクを避けるような治療法を選択することもあります。
おわりに
矯正治療を受けるうえで、歯根吸収のリスクが100%ないというわけではありません。
しかし、歯根吸収によって治療が中断されることは稀で、多くの患者様にとって矯正治療は安全な場合が多いです。
起こりうるリスクを正しく理解して、安心して矯正治療を進めるため、不安があればその都度相談することが重要となります。
矯正治療について詳しく知りたい、矯正したいけど不安がある方は横浜駅前歯科・矯正歯科の初回無料カウンセリングにお越しください。
カウンセリングを受けることは矯正を始める大きな一歩になると思います。
たくさん調べて、悩んでよくわからなってしまう前に、ぜひお気軽にお悩みをお聞かせください。