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投稿日:2025.2.14

表側矯正と裏側矯正、どちらが虫歯になりにくい?マウスピース型矯正装置の落とし穴とは

表側矯正 裏側矯正 虫歯になりにくい

みなさん、こんにちは。
横浜駅から徒歩3分 横浜駅前歯科・矯正歯科 歯科衛生士の浦木です。

みなさんは、表側矯正と裏側矯正ではどちらが虫歯になりにくいと思いますか?

実は・・・・裏側矯正の方が虫歯になりにくいです。

また、マウスピース型矯正装置は取り外せる装置であるため虫歯になりにくいと思われがちですが、間違った使い方をしていると、マウスピース型矯正装置でも虫歯になりやすくなってしまいます。

そこで今回は、
「なぜ裏側矯正は虫歯になりにくいのか」
「マウスピース型矯正装置でも虫歯になってしまう危険な行動」
「矯正中、虫歯になりにくくする方法」
について詳しく解説いたします。

虫歯とは?

虫歯は虫歯菌が糖を栄養にし産生した酸によって歯が溶ける病気

裏側矯正 表側矯正 虫歯になりにくい

虫歯とは、虫歯菌飲食物中の糖(炭水化物)を栄養にし産生したによって、歯が溶ける病気です。
飲食をすると、虫歯菌が酸を産生し、プラーク(歯垢)のpHが急激に下がります。
pH5.5以下になると、歯の表面のエナメル質を構成しているハイドロキシアパタイトという結晶から、カルシウムイオンやリン酸イオンが溶けはじめます。(脱灰:だっかい)

裏側矯正 表側矯正 虫歯になりにくい歯が溶けだす最も高いpH値を『臨界pH』といいます。
そのままプラークを放置しておくと、さらに脱灰が進行し、歯に穴があいてしまいます。
これが虫歯です。

裏側矯正 表側矯正 虫歯になりにくい

長期間砂糖入り紅茶をダラダラ飲み続けた表側矯正患者の虫歯

ちなみに、虫歯と同じように酸で歯が溶ける病気「酸蝕症(さんしょくしょう)」は、細菌が関与しない科学的な不可逆的な脱灰・溶解と定義されており、酸性の飲食物やサプリメント胃酸などにより、直接科学的に歯が溶けてしまいます。
あわせて読む≫≫≫『ワインで歯が溶けるってホント?日本人の4人に1人がかかっている酸蝕症とは?

虫歯の原因~病因論の変化~

虫歯の原因菌 虫歯になりにくい 裏側矯正

むかしは、虫歯はある特定の虫歯の原因菌(ミュータンス菌やラクトバチラス菌)が感染することによって起こるという「特異的プラーク説」が支持されていました。
つまり、虫歯は伝染性で感染疾患であり、
「虫歯菌が多い人は
虫歯になりやすいので、あきらめなければならない」
といった考え方です。
しかし、ある初期虫歯では、この特定の虫歯の原因菌だと考えられていた菌が存在しないことが多々ありました。
そして現在では、ミュータンス菌やラクトバチラス菌は虫歯を引き起こす主軸となる菌ではありますが、虫歯は
非感染性の常在菌口腔外からの多因子によって起こるという「生態学的プラーク説」が支持されています。
この病因論の変化により、虫歯になりやすい人でもなりにくくすることができるということになります。
それとは反対に、虫歯になりにくかった人でもなりやすくなることもできるといえるでしょう

虫歯の原因 ワイヤー矯正 矯正歯科

虫歯はどうやってできる?

虫歯の原因 プラーク ワイヤー矯正

虫歯は成熟したプラーク(細菌のかたまり)の下で発生します。
きれいに歯磨きでプラークを落とした後は、すぐにプラークは付きません。
まず、唾液中のタンパク質「ペリクル」が歯の表面に付着します。
そして、ペリクルの上に虫歯の原因にはならない細菌が付きはじめます。(プラークの付着)
さらにその他の細菌が付着して成熟したプラークとなっていきます。
大体24時間くらい放置しないとpHは下がりません。
そして24時間、48時間とプラークが成熟してくると、pHが下がりやすくなり、7日経つと最下点まで下がりやすくなります。
その成熟したプラークが産生した酸が歯に浸透していくことによって、虫歯が発生します。
つまり、成熟したプラークがなければ、虫歯はできません。

裏側矯正が虫歯になりにくいのはなぜ?

表側/裏側矯正(マルチブラケット装置)とは?

表側矯正 裏側矯正 虫歯になりにくい

マルチブラケット装置は、歯に接着したブラケット(ブレース)にワイヤーを通して歯並びを整える矯正装置です。
ここでは、マルチブラケット装置を唇側につける矯正方法を「表側矯正」、舌側につける矯正方法を「裏側矯正」として説明します。
マルチブラケット装置は、複雑な構造をしているので食べ物が装置にからまりやすく、また、歯ブラシが歯面に当たりにくいので、磨き残しやすいです。

表側/裏側矯正(マルチブラケット装置)の磨き残しやすい場所

裏側矯正 表側矯正 虫歯になりやすい

上の写真は歯垢染色ジェルでプラークを染め出した写真です。
使用した歯垢染色ジェルは、色素とプラーク中の酸の反応で、赤色、青紫色、水色の3色に染めわけることができます。
赤く染まっているのは新しく付着したプラーク、青紫色は古いプラーク、そして水色は古いプラークがさらに成熟し、虫歯のリスクが高くなっている状態です。
以下1~3はマルチブラケット装置で磨き残しやすい場所です。

  1. ボタンやブラケット(ブレース)の周辺(特に“歯頚部”といって歯肉に近い部分)
  2. ワイヤー下
  3. パワーチェーンとその周辺

裏側矯正 表側矯正 虫歯

裏側矯正が表側矯正より虫歯になりにくい理由

裏側矯正は歯磨きが難しいため虫歯になりやすいと思われがちですが、裏側矯正は表側矯正に比べて虫歯になりにくいと言われています。
その理由は以下の通りです。

  1. 唾液の自浄作用や殺菌作用が働きやすい
  2. 裏側のエナメル質の方が厚い
1.唾液の自浄作用や殺菌作用が働きやすい

裏側矯正 虫歯になりにくい 矯正歯科

歯の裏側は表側に比べて唾液が循環しやすく、唾液の自浄作用や殺菌作用が働きやすい環境にあります。
表側に装置を付けた場合、唇が閉じにくくなり、歯面が乾燥することによってプラークだけでなく、着色もつきやすくなります。
あわせて読む≫≫≫『歯の着色汚れを落とす方法と予防策を徹底解説!歯が着色しやすい人の特徴とは?

2.裏側のエナメル質の方が厚い

裏側矯正 虫歯になりにくい 矯正歯科

歯の裏側のエナメル質の厚さは、表側の3倍ほどあります。
そのため、細菌が作りだす酸への抵抗力が強く、虫歯になりにくいといえます。

マウスピース矯正中の危険な行動とは?

裏側矯正 表側矯正 虫歯になりにくい

マウスピース型矯正装置でも虫歯になってしまう危険な行動

  1. マウスピースを装着したまま飲食する
  2. マウスピースを磨かない
  3. 食後に歯を磨かないままマウスピースを装着する

マウスピースを装着したまま飲食をしたり、食後に歯を磨かないままマウスピースを装着すると、マウスピースと歯の隙間に飲食物が入り込んだ状態になります。
そのような状態でマウスピースにおおわれた歯は、唾液の自浄作用や緩衝能などが働きにくいため、虫歯になりやすくなります。
※唾液の緩衝能とは、酸性に傾いたお口の中を中性に戻す機能のこと。

また、マウスピースにもプラークが付着します。
ブラシを当ててプラークを除去していないと、プラークが付着したマウスピースを口に戻すことになり、歯にプラークのパックをしている状態になってしまいます。
マウスピースに付着したプラークは、口臭の原因にもなります。

マウスピース型矯正装置での矯正中に虫歯にならないようにする方法

マウスピース型矯正装置  虫歯予防 矯正歯科

  1. 飲食する時はマウスピースを外す
  2. マウスピースは歯ブラシをで磨いたり、洗浄剤を使用して清潔に保つ
  3. 食後に歯磨きをしてからマウスピースを装着する

合わせて読む≫≫≫『マウスピース矯正の方向けオススメの除菌・洗浄アイテム

矯正治療中、虫歯や酸蝕(さんしょく)を防ぐ方法

矯正治療中に虫歯や酸蝕を防ぐ方法を5つご紹介します。

  1. プラークの除去(毎食後の歯磨き)
  2. フッ化物の使用(1450ppmの歯磨剤をたっぷり)
  3. 飲食は1日4回まで
  4. 酸性度の高いものの摂取改善
  5. ドライマウス対策
1.プラークの除去(毎食後の歯磨き)

裏側矯正 表側矯正 虫歯予防

虫歯は成熟したプラークの下で発生するので、プラークを成熟させないこと大切です。
矯正中でなければ
「最低1日2回歯磨きをしましょう」
と言いたいところですが、マルチブラケット装置による矯正(表側・裏側矯正/ワイヤー矯正)中は矯正装置に食べ物がはさまりますし、マウスピース型矯正装置では歯磨き後にマウスピースを装着する必要がありますので、矯正治療中は必ず毎食後に歯磨きをしましょう。
歯と歯の間はデンタルフロスか歯間ブラシを使用しましょう。

2.フッ化物濃度1450ppmの歯磨剤をたっぷり使用

裏側矯正 表側矯正 虫歯予防

唾液中には歯の成分でもあるカルシウムやリンが含まれています。
そして、唾液には、酸で歯から溶けだしたカルシウムイオンやリン酸イオンを歯に取り込んで元に戻す作用があります。(唾液の再石灰化作用)
フッ化物はこの再石灰化の促進をしてくれます。

裏側矯正 表側矯正 虫歯になりにくい

また、フッ化物を使用すると、歯が溶ける臨界pH5.5から4.5まで下がります。(=酸に10倍強くなる/歯が溶けている時間が短くなる)
フッ化物濃度1450ppmの歯磨剤を乾いた歯ブラシたっぷりのせて
※6歳以上)、水にぬらさずそのまま磨きましょう。
磨き終わったら、口の中に溜まった唾液を吐きだすだけにしましょう。
どうしても水でゆすぎたいときは、ペットボトルのキャップに入る量くらいの少ない水で、1回だけゆすぎましょう。

3.飲食は1日4回まで

裏側矯正 表側矯正 虫歯予防

糖の摂取が頻回になると細菌が酸を出す回数(歯が溶ける回数)が増えますし、唾液の緩衝能が追い付かなくなります。
また、酸性に傾くと酸性の環境下で生きることができる細菌たちしか生き残れなくなり、ミュータンス菌やラクトバチラス菌の割合が増えてきます。
1日3回の食事+間食の4回までに糖の摂取はおさえましょう。

4.酸性度の高いものの摂取改善(酸蝕症予防)

酸蝕症 酸で歯が溶ける 矯正歯科

柑橘類やお酢、炭酸飲料やスポーツドリンクなどは、プラークが産生する酸よりも非常に強い酸で、あっという間に歯を溶かしてしまいます。
酸性度の高い飲食物の頻回にわたる摂取は控え、摂取時にはこまめに水を口に含み、洗い流しましょう。
あわせて読む≫≫≫『ワインで歯が溶けるってホント?日本人の4人に1人がかかっている酸蝕症とは?

5.ドライマウス対策

裏側矯正 表側矯正 虫歯予防

ドライマウス(口腔乾燥症)は、虫歯の大きなリスクです。
唾液が行き届かなければ下がったpHが上がらずに酸性環境に傾いたままの時間が長くなってしまいます。
食後は必ず歯磨きし、フッ化物洗口や代用糖(キシリトールなど)で対策しましょう。
また、飴やグミは控えましょう。

まとめ

裏側矯正 虫歯になりにくい 横浜矯正歯科

裏側矯正は、唾液の作用やエナメル質の厚さのおかげで、表側矯正に比べて虫歯になりにくい矯正方法です。
しかし、油断すると裏側矯正でも虫歯になってしまいますし、マウスピース矯正でも虫歯になってしまうこともあります。
せっかく歯並びがきれいになっても、虫歯で歯がボロボロになってはもともこもありません。
どの矯正装置であっても、また、矯正治療をしていなくても、一生自分の歯で美味しくごはんを食べるには、今回お伝えした虫歯や酸蝕症を防ぐための5つの対策は、必ず覚えておきましょう!

裏側矯正について詳しく知りたいかたはこちらをご覧ください。
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